なぜオンラインカジノは違法で、公営ギャンブルは合法なのか?〜令和ロマン退所報道から考える〜

ホーム

なぜオンラインカジノは違法で、公営ギャンブルは合法なのか?〜令和ロマン退所報道から考える〜
2025年4月28日、お笑いコンビ「令和ロマン」の高比良くるま氏が吉本興業とのマネジメント契約を終了しました。報道によれば、過去にオンラインカジノを利用していたことが理由の一端とされ、その後、本人がYouTubeで謝罪を表明。しかし吉本との事前調整がなく、「信頼関係の破綻」が決定打となり契約終了に至ったとされています。

このニュースを見た多くの人が疑問に感じたのではないでしょうか。

「オンラインカジノは違法なのに、なぜ競馬や競艇は合法なのか?」

「パチンコもギャンブルじゃないのか?」

本記事では、日本におけるギャンブルの合法・違法の線引きと、その背景にある制度的矛盾や政治的事情までを掘り下げて解説します。


オンラインカジノはなぜ違法なのか?

日本の刑法では、賭博行為は原則として禁止されています。刑法第185条では「賭博罪」、186条では「常習賭博罪」および「賭博場開帳図利罪」が規定されており、賭けごとを営利目的で継続的に行えば、懲役刑を含む処罰の対象になります。

たとえオンラインカジノが海外で合法に運営されていたとしても、日本国内からプレイすれば「国内で賭博をした」と見なされます。これは、日本の刑法が属地主義を採っているためで、日本に住んでいる限り、日本の法律が適用されるという原則があるからです。

過去には、オンラインカジノを利用した日本人が書類送検されるなどの事例も実際に存在します。つまり、海外運営だからセーフという言い訳は通用しません。


公営ギャンブルはなぜ合法なのか?

一方、競馬・競輪・競艇(ボートレース)・オートレースなどは「公営ギャンブル」として合法とされています。これらは戦後間もない混乱期、国家財政の建て直しと公共資金調達の手段として国が制度化しました。

それぞれの競技には専用の法律があります:

  • 競馬:競馬法(所管:農林水産省)
  • 競輪:自転車競技法(所管:経済産業省)
  • 競艇:モーターボート競走法(所管:国土交通省)
  • オートレース:小型自動車競走法(所管:経済産業省)

2023年度の公営ギャンブル総売上は約8兆円。中でも日本中央競馬会(JRA)は単独で3.5兆円以上の売上を上げ、約10%を国庫納付金として納めています。これは防衛費を超える規模とも言われ、非常に巨大な利権が背後に存在していることがわかります。


パチンコはなぜ黙認されているのか?

さらに特殊なのが「パチンコ」です。本来、刑法上の賭博罪に該当するはずですが、「三店方式」という抜け道が使われており、景品を外部の景品交換所で換金する形を取ることで、直接的な金銭授受を避けています。

この三店方式により、パチンコ業界は事実上の賭博ビジネスとして成立しており、経済規模はおよそ15兆円規模。パチンコメーカー、ホール、景品業者、政治家との関係も取り沙汰され、グレーゾーンながらも実態として「公認」されています。


ギャンブル依存症という社会的課題

日本ではギャンブル依存症の有病率が非常に高く、厚労省の調査では約3.6%と、先進国の中でも最悪水準にあります。特にスマホで手軽に賭けられるネット投票やオンラインゲーム型賭博が増えたことで、依存症リスクがますます高まっています。

公営ギャンブルやパチンコも「公益性」や「自己責任」の名の下に運営されていますが、実際には依存症対策が後手に回っており、制度としての矛盾が指摘され続けています。


結論:国が管理できる賭博=合法、それ以外=違法

令和ロマンの件が象徴するように、オンラインカジノのように「民間業者が収益を得るギャンブル」は違法として排除され、一方で「国家や自治体が管理して利益を得られるギャンブル」は合法として保護されている――この構造が、日本のギャンブル制度の本質です。

善悪の問題ではなく、結局は「誰が儲かるか」が合法と違法を分ける境界線。制度を見直すなら、この歪んだ構造と真剣に向き合う必要があるのではないでしょうか。

あなたはどう思う?

タイトルとURLをコピーしました