和多都美神社、異例の声明に至った背景とは
2025年3月23日、長崎県対馬市にある和多都美神社が公式Instagramを通じて、「氏子・崇敬者以外の境内立ち入り禁止」という極めて異例の声明を発表しました。
海に鳥居が浮かぶ神秘的な景観で知られるこの神社は、SNSを中心に“映えるスポット”として話題となり、国内外から多くの観光客が訪れていました。しかし、一部の訪問者によるマナー違反・不敬行為が相次ぎ、神社はついに信仰と文化を守るための強い姿勢を打ち出すに至ったのです。
なぜ問題は起きたのか?
観光客の急増と“映え目的”の参拝
鳥居に登ったり、神事中にライブ配信をしたりと、信仰心を持たずに訪れる観光客による行動が目立つようになりました。静かで神聖な場所をテーマパークのように扱う行為は、地元住民や関係者にとって大きなストレスとなっていたのです。
神社側の訴えが無視され続けた
和多都美神社はこれまでに市役所や観光協会、警察に相談してきましたが、具体的な改善にはつながらなかったといいます。暴言・暴力を受けるケースもあったため、「守ってくれる人がいないなら、神社自ら守るしかない」と決断したのです。
他にもある?同様のトラブル事例
- 京都・祇園:舞妓の無断撮影や付きまとい行為 → 写真撮影禁止に
- 奈良・春日大社周辺:鹿への過剰な餌付け・騒音行為 → 注意喚起強化
- 富士山五合目:ゴミの放置やドローン撮影 → 入山規制・保全料導入
- 和多都美神社(過去):2020年にも一時「外国人立ち入り禁止」の発表 → 撤回騒動あり
誰がこの問題に対処すべきか?
この問題を神社や地域だけで抱えるのは限界があります。
政府・自治体
観光庁や自治体は、多言語によるマナーガイドの強化や、訪日前の文化教育の制度化を推進するべきです。
旅行業界
ツアー会社や民泊業者は、観光客に対して地域のマナーや文化への理解を促す役割を担う必要があります。
観光客自身
自由な観光を楽しむためにも、訪問先の文化に最低限の敬意を払うことは国際的なマナーのひとつです。「知らなかった」では済まされない時代になっています。
おわりに
今回の和多都美神社の声明は、ただの苦情ではなく「信仰と文化を守るための最後の手段」でした。今後、日本が“観光立国”として持続的に発展していくためには、観光と信仰・文化とのバランスをどのように取るかが大きな課題となっていくでしょう。